【賛同コメント】森 菜穂美(舞踊ライター・翻訳家)
青山劇場は、1986年に第一回を迎え16回を記録した青山バレエフェスティバル、熊川哲也がゴールドメダルを受賞した1989年のローザンヌ国際バレエコンクール、そして4回開催されたローザンヌ・ガラとバレエファンにとっても歴史が刻まれた聖地でした。さらにコンテンポラリーダンスの分野でも、ダンストリエンナーレトーキョーが開催されていて、数々の名舞台が記憶に新しいところです。また、個人的には劇団新感線の「髑髏城の七人」「大江戸ロケット」、そして三谷幸喜「オケピ!」などの素晴らしい舞台も思い出深いです。この劇場でしか実現できない舞台転換もスムーズにできる独特の舞台機構は、パフォーミングアーツ界の宝と言ってもいいすぎではありません。ここは、東京発の貴重な文化の起点であり、ファッション、アート、教育とのコラボレーションにも理想的な立地でした。360度回転する円形劇場の機構をはいしするとのことですが、せっかくの高度な舞台機構、照明設備を無駄にしての、ただの箱でしかない多目的ホール化は残念で仕方ありません。老朽化しているわけでもないのに、巨額のお金を使ってのスペックダウンは、考えられない愚行です。
またこどもの城については、私の子ども時代からの遊びの場所でもありました。いつか自分の子どもが生まれたら連れて行こうと思っていたのに、いざ実際に子どもを育てる時になって、子ども中心ではない全世代向けの施設へと変わってしまうのも残念です。子どもたちに優れたパフォーミングアーツを提供し心をはぐくむ拠点である青山劇場を、これまでの機能のまま蘇らせることを心から願います。
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