青山劇場、青山円形劇場の機能存続を求める演劇人声明

2019年12月11日

東京都知事 小池百合子

青山劇場、青山円形劇場の機能存続を求める演劇人声明

 

去る11月22日、東京都が購入したこどもの城、青山劇場、青山円形劇場の改修、活用についての計画をまとめた『都民の城(仮称)改修基本計画中間のまとめ』が発表されました。

そこには、青山劇場、青山円形劇場について「可動式床機構の廃止、照明・音響に関するスペックの調整も視野に、多目的ホールへと改修を行います」という方針が記されていました。

東京都がこの地に舞台演劇の灯を存続させると判断されたことについて一定の評価をするものの、青山劇場、青山円形劇場を愛し、その復活を望む演劇人として、この計画はとても認めることができません。

私たち演劇人有志一同は東京都に対し、下記のことを求めます。

 

  1. 青山劇場と青山円形劇場の貴重な舞台機構を残し、音響・照明設備をスペックダウンすることなく活用すること
  2. 青山劇場の舞台機構、音響設備改修のための必要となる費用を公表すること

 

「1.青山劇場と青山円形劇場の貴重な舞台機構を残し、音響・照明設備をスペックダウンすることなく活用すること」について

青山劇場は、全床スライド方式の2面の主舞台を持ち、間口16m、奥行き 16.6mの大迫りに加えて、同じ間口、奥行きを持つスライディング・ステージが設置され、主舞台そのものを入れ替える文字通りの<舞台転換>を可能とする、開設時に「東洋一」と言われた素晴らしい舞台構造を持っています。

この舞台機構があったからこそ、ここでしか表現し得ない演目が生まれ、演劇関係者や演劇ファンからも多くの支持を得る唯一無二の劇場であったのです。

この舞台機構をなくしては、青山劇場の劇場としての価値は失われると言っても過言ではありません。

多目的ホール」として多目的ホールは、他にもあります。

しかし、このような優れた舞台機構を持つ劇場は、今でも日本には他にないのです。

また、青山円形劇場は日本初の完全円形舞台であり、内部の座席も白一色で統一するなど、余計なものを一切排除したその空間であるからこそ演劇人の力量が試され、「ここでしか成立し得ない表現ができる」と言われた全国的にも貴重な劇場であり、東京の小劇場の歴史を支えてきました。

このように、日本国内では他に類を見ない貴重な劇場である青山劇場、青山円形劇場を、どこにでもある「多目的ホール」へと改修することは、両劇場の持つ魅力や価値を一切失わせることにつながりかねません。収益を見込めない無用の長物となってしまう危険性をも、はらんでいるのです。

青山劇場、青山円形劇場の持つ魅力、価値を最大限に生かすためにも、現状の機構を活かし、設備をスペックダウンすることなく活用することを強く求めます。

 

「2.青山劇場の舞台機構、音響設備改修のための必要となる費用を公表すること」について

青山劇場の舞台機構の廃止、音響設備のスペックダウンが検討されている理由は、「当面の間の活用を予定したものであり、改修工事費を最小限に抑える必要があること」であることが発表されています。

青山劇場の最大の目玉である舞台機構を廃止せねばならないほど、青山劇場の舞台機構の改修には費用がかかるのでしょうか。その額が一体いくらなのか明確にならなければ、それはとても納得できるものではありません。

『都民の城(仮称)改修』には110億もの費用をかけることが計画されているようです。その費用は、どのような内訳になっているのでしょうか?

現状の計画における全施設の改修・新設にかかる費用の内訳ととともに、青山劇場の舞台機構改修にかかる費用の見積もりを、ぜひ公表してください。

以上です

青山劇場、青山円形劇場の機能存続を求める演劇人声明賛同人一同

 

*この声明へのお問い合わせは aogeki.enkei@gmail.com までご連絡ください。

 

 <以下、声明全文および賛同人画像>

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